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「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」から学ぶ⑥ どのような姿勢で臨むか

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今回はマーケティング本の名著に上げられる「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」を読んでの我々なりの解釈を紹介します。今回で一通り全ての法則に触れることになります。

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

  • 作者: アルライズ,ジャックトラウト,Al Ries,Jack Trout,新井喜美夫
  • 出版社/メーカー: 東急エージェンシー出版部
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  • メディア: 単行本
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法則が示す心の中はどういうものか

本書の法則で示される全体イメージは以前提示しました。

今回は最後に触れていない4法則を見ていきます。主に触れる法則としては以下になります。

  • 第15章:正直の法則
  • 第18章:成功の法則
  • 第19章:失敗の法則
  • 第22章:財源の法則

どのような姿勢で臨むか

マーケティング活動していく中で、自社の製品・サービスのポジティブな面をどのようにして認知してもらうかというところに意識がいきますが、それだけではありません。

顧客の心の中に入り込む一番効果的な方法はまずネガティブ面を認めて、それをポジティブ要素に変えることだと聞けば、あなたは驚くかもしれない。
(第15章:正直の法則 P156)

自社の問題点を認めて、それを更に表明していくことが、ときには有利に働くことを理解することは難しいかもしれません。しかし、これがときには大きな効果があります。キューサイの青汁のCMでの「まずい!もう一杯!」はわかりやすい例でしょう。

あなたが顧客を納得させるためには、ポジティブな発言の正しさを証明して見せなくてはならない。ネガティブな発言の場合、証明は不要である。
(第15章:正直の法則 P157)

引き続きキューサイの青汁のCMを例にすると、まず「まずい!」というネガティブな面を強調してます。これは出演している八名信夫の表情と相まって、その「まずさ」については説明の必要がないでしょう。そして、すぐに「もう一杯!」とすることで、そのネガティブな面を覆すほど得られる効果がありそうだと、視聴者に思わせることに成功しています。「もう一杯!」はネガティブな場合にやらないこと(ポジティブな場合にやること)なので、ここがギャップとなり大きな効果が得られています。
ちなみにこのCMのセリフですが、アドリブでこのようになったようです。当初は別のセリフの予定が飲んだらあまりのまずさにそのセリフを言えず、社長に「まずい」に変えていいかと聞いて変わったというから驚きです。変えるのは良いがフォローを入れてくれとのリクエストで「もう一杯」が加わったとのことらしいのです。この話の凄いところは、変更を求められてその場でOKを出したキューサイ側です。自社のネガティブな面を素直に認める正直な姿勢で臨むことは、そう簡単ではありません。

成功と失敗の経験

成功した経験、失敗した経験がときには役に立ち、ときには足を引っ張ります。

人は成功すると、とかく客観性を失いがちになる。彼らはしばしば自己の判断を、市場のニーズと混同するのだ。
(第18章:成功の法則 P184)

成功するとエゴは大きく膨らみ、客観性を失っていくと言っています。ただエゴは新事業を行う時に大きな推進力ともなることもあります。エゴが問題となるのは、マーケティング活動に持ち込むときと言っているのです。
ポイントととなるの成功体験により客観性を失っているときとは、どのような状況かということになりそうです。マーケティング活動の何かを判断するときに、その判断の決め手となる要素が成功体験に基づいたものばかりのとき、客観性があるか確認が必要でしょう。

ミスを認めながらそれに対して何の手も打たないというのでは、あなたのキャリアに傷がつく。上手なやり方は早いうちに失敗を認め、損害を食い止めることだ。
(第19章:失敗の法則 P192)

たいていの会社は失敗していても、何とか継続させることを選択してしまうと言っています。早めに失敗を認め、活動に変更を加えたり停止することで損害が大きくなる前に食い止めることができると言っています。

これらの法則で指摘していることは、めずらしいものではありませんが、これを確実に実行することが非常に難しいです。
成功に関しては、小さなものも含めて成功を積み重ねて自信を深めることが多いようです。マーケティング活動においても同様で、この過程で客観性を失ってしまう。マーケティング活動では顧客にどう知覚されるかが重要であると、これまでも散々触れてきました。顧客にとってはこれまで成功していたかは関係ないのです。マーケティング活動の選択は、これまで成功したかではなく、なぜ成功したか、そして今回も当てはまるかといったことを確認できる仕組み作りが必要となるでしょう。
失敗に関しては、それを早く認めて損害を食い止めるというが、例えば事業の失敗を認めて撤退するとい規模の決断となると、いっきに難しくなる組織が大半でしょう。マーケティング活動においては、事前に基準を作って失敗ラインを決めておくことで判断する機会を作ることができます。ここで注意が必要なのはマーケティング活動は継続的なもので、最初は成功しているように見えたものが一定期間経過すると効果がないこともあります。定期的に計測し、経過に合わせた基準の設定が必要になりそうです。

最後の法則

これまでの法則では心の中がどうなっているかやどう働きかけるか、そしてどのようような姿勢で臨むかといったものでした。しかし最後はそれらとは別に財源の重要性について言っています。

マーケティングとは、顧客の心の中で争われるゲームである。顧客の心の中に入っていくには、資金が要る。そしていったん入り込んでも、そこに留まるにはまた資金が必要なのである。
もしあなたが、アイデアはありふれているけれど、100万ドルの資金を持ち合わせているとすれば、優れたアイデアしかない場合よりも遥かに成果を上げることできる。
(第22章:財源の法則 P214)

マーケティング活動を成功させるには、優れたアイデアがあれば後はマーケティング上の知識や支援だと考えがちなところにくぎを刺します。

金のないアイデアは全く無価値であるとはいえないにしても、まあ、無価値に近い。ともかくあなたは、マーケティング上の支援よりは金づるを探すことにアイデアを使うべきだ。マーケティングなど、そのあとでいい。
(第22章:財源の法則 P215)

マーケティング活動を継続させるには財源が必要になります。起業したばかりの会社では資金は常に問題となっていることが多いでしょう。一般的な会社の場合は、決まった年間予算の枠で対応することになる場合が多いでしょう。予算枠が決まっているために取れる手段が限られたり、1年以上の期間のかかる活動では予算の確保の仕方が問題になるかもしれません。いずれにしろ財源によりマーケティング活動に制限はかかることがあるので、マーケティング担当は財源についても自身の解決すべき問題として捉える方が良い組織もあるでしょう。

法則で書かれたことのその他考察

ポジティブな訴えに素早く移ることだ。正直であることの目的は、何も弁解をすることではない。その目的はあくまで、顧客を納得させるようなプラス面を提示することである。
(第15章:正直の法則 P161)

ネガティブな面を認めるのは、そのすぐ後のポジティブな面を強調したり効果的にするためにするのです。正直の法則を利用するときは、そこで認めるネガティブな面とポジティブな面を合わせて考えることが効果的です。

あるブランドが成功すると、会社はブランド成功の主な理由が、ブランドネームにあると思いがちである。そこで彼らはすぐさま別の商品を探してきて、それにそのブランドネームをくっつけるのだ。
(第18章:成功の法則 P185)

製品ライン拡張の背景の一つには、あるブランドの成功を主にブランド名にあると考えてしまう人がいることである。成功したブランドを作り上げた人は、そのブランド名に思い入れが強くなり客観性を失うことがあります、これだけ成功したブランド名を利用しない理由があるのかと。また、成功したブランドを引き継いだり利用できる立場の人は、新しいブランドを立ち上げる苦労より成功したブランド名を利用しようとする。
これらは顧客がどう知覚するかを考えるより、ブランド名を利用した方がマーケティング活動を行いやすいという自分たちの都合から発想したものであることが多く、結果として成功しない要因となる可能性があります。

マーケティング上の決定は、第一に、意思決定者のキャリア、第二に、競争状況ないし敵に与えるインパクトを念頭に置いて下される場合が多い。私的な配慮と公的な会社の事情との間には、抜きがたい攻めぎ合いがあるのである。
(第19章:失敗の法則 P193)

マーケティング活動を新しく始めたり変更を加えたりする場合、何らかのリスクが伴います。意思決定者や責任者のそのリスクを冒してまで、活動を決定できるかがポイントとなります。また決定することで意思決定者や責任者に利益がなければ、その決定をできないということがあります。例えば事業撤退などです。事業撤退を行う場合、それに伴う損失を計上することになります。赤字は絶対許されないと思っている責任者にとっては、撤退による損失で一時的にでも赤字になることは自身のキャリアにマイナスに働くと考えます。このため事業撤退をしても赤字にならないような、高収益のときに行われたり発表されることが多くなります。高収益になる前に撤退した方が損失が少なく済むと分かっていてもです。撤退が適切にできないとなると、新規事業の参入も足踏みしたり、調査時間を掛け過ぎて機を逸したりするでしょう。
自身の安定したキャリアはその組織の成否より優先されることがあります。意思決定者や責任者が組織にとって正しいと思える決定を行えるような、仕組み作りと組織運用が必要となるでしょう。

何事につけ、ケチりながら成功することはできないだろう。
成功するマーケッターは、常に先行投資を行なう。いいかえれば、彼らは収益をそっくりマーケティングに再投下する。このため、二、三年の間は利益を受け取らないのである。
(第22章:財源の法則 P220)

マーケティング活動は継続的な活動である場合が多く、更に先行投資が必要な場合もあります。このような場合は財源は一時的でなく、継続的に必要になります。
ただし継続することで大きな効果が得られることと、継続を止めることができないことは違います。割引キャンペーンなどのセールはその期間は良いですが、それを止めると売れなくなり、また実施しないといけない状態に陥ることがあります。広告宣伝でも同様に止めると売れなくなる状態があり、このような状態は効果的なマーケティング活動とは言えず資金の流出が続くので、見直す必要があるでしょう。

まとめ

今回は「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」の主に取り組む姿勢に関する法則の紹介でした。これで一通り全ての法則に触れたことになります。今後は活用事例などがあれば、紹介する予定です。

以上

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