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「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」から学ぶ⑤ どのように失敗するか

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今回はマーケティング本の名著に上げられる「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」を読んでの我々なりの解釈を紹介します。

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

  • 作者: アルライズ,ジャックトラウト,Al Ries,Jack Trout,新井喜美夫
  • 出版社/メーカー: 東急エージェンシー出版部
  • 発売日: 1994/01/01
  • メディア: 単行本
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法則が示す心の中はどういうものか

本書の法則で示される全体イメージは以前提示しました。

 今回はこの左側部分のマーケティング活動はどのような失敗があるかを法則ではどのように示しているか見ていきます。主に触れる法則としては以下になります。

  • 第12章:製品ライン拡張の法則
  • 第13章:犠牲の法則
  • 第16章:一撃の法則
  • 第17章:予測不能の法則
  • 第20章:パブリシティの法則

どのようにして失敗するのか

全体イメージからすると、マーケティング活動は顧客や見込客が認知する自社の全ての活動です。自社の活動は顧客が認知してなければ何もしていないのと同じです。自社が活動してなくても情報化社会と言われる現在ではあらゆる媒体・メディアを通じて認知されることもあります。それは競合などが発することでマイナスに認知されることもあるでしょう。
このような状況下でどのような活動を行っていくのが良いでしょうか。

多くのマーケティング関係者の見るところ、成功とは見事に実施された無数の小さな努力の総体的な成果である。
彼らは数多くの戦略の中から自由に選択し、その戦略計画に多大の努力を注入しさえすれば成功できると考えているのである。
(第16章:一撃の法則 P164)

多くの場合、日々のマーケティング活動が積み重ね成果に結びつくと考えがちです。自社が自由に意思決定・選択した活動に注力し努力すれば成果に結びつくと考えてしまいます。このような考え方は注意が必要です。

マーケティングの実効を上げうる唯一の行動は、一回きりの、大胆な一撃である。さらに、いかなる状況においても、実質的な成果を上げうる作戦行動は一つしかありえない。
(第16章:一撃の法則 P165)

日々の活動はもちろん重要です。ただし自社の置かれてる状況によって、重大な成果を上げるのはただ一つの行動だと言っています。これはどいうことを指しているかというと、ナンバーワンなどの競合に対応した行動で大きな成果が得られるのは、色々な行動ではなくたった一種類の行動ということです。それは競合の弱みを突いた行動であり、自社が自由に選択した行動ではないのです。そしてその弱みを突いた行動に集中すべきと言っています。

競合のことを理解する必要がありますが、この22の法則に関しては前回までの説明の中で、ランクやフレーズについては触れてきました。これ以外にもヒントが示されています。

万事が順調であるとき、会社はパブリシティを必要としない。パブリシティを必要とするのは、たいてい困った時である。
(第20章:パブリシティの法則 P198)

歴史は、マスコミでは成功しながらマーケティングでは失敗した事例で満ち満ちている。
(第20章:パブリシティの法則 P200)

マスコミに現われる姿と実態は逆であることも多いと指摘しています。例えば各社の決算発表に対するメディアの評価などを見てみると良いかもしれません。数年前のメディアの決算評価の内容で現在の状態を正確に表しているものは少ないでしょう。
パブリシティを利用しようとするマーケティング担当者の心理を考えてみると、自社のことを正確に伝えるためではなく、実態以上に良く見せるためにしようとするので、このようなことが多くなるのが理解できます。

競合分析をした上で、自社のマーケティング活動をどのようにするか計画を立てていくわけですが、この際にも注意が必要です。

たいていのマーケティングプランにそれとなく含まれているのが、未来についての仮説である。けれども、未来予測に基づいて建てられたマーケティングプランは、たいがい失格である。
(第17章:予測不能の法則 P174)

マーケティング活動で顧客や見込客の心に働きかけるにあたって、外れるかもしれない未来予測を前提にしていると失敗の要因になります。
ただ経営戦略や中長期の計画の中には何かしらの予測があり、それに引っ張られてマーケティング活動を計画してしまうことがあるかもしれません。

優れた短期計画は、あなたの商品なり会社なりを差別化する優れた切り口、ないしは表現アイデアを提示してくれる。そのあとで一貫した長期のマーケティング目標を立て、そうした表現アイデアや切り口を最大に効果あらしめるプログラムを作ればいい。これは長期計画ではなく長期目標である。
(第17章:予測不能の法則 P176)

未来は予測不能で、それが先のことであればあるほど予測不能な範囲が広がっていきます。逆に短い期間であれば予測不能の範囲は狭くなってくることになります。業界や製品・サービスに特性により期間の長さに違いはあるでしょうが、未来に関する仮説が入りにくい短期間におけるマーケティング活動の計画を立てることが、失敗する可能性を低減させると言っています。

失敗するパターンの代表例

本書の失敗パターンの代表例が製品ラインの拡張ですと言っています。

本書の法則のうちで、断トツに破られている法則といえば、何と言っても「製品ライン拡張の法則」である。ラインの拡張は企業サイドが意識的な努力をほとんどしないでも、連続して起こるプロセスなのである。
(第12章:製品ライン拡張の法則 P120)

製品ラインの拡張は、既存のブランドを利用して新製品を導入することです。自社の扱う製品やサービスにもよりますが、色や形などの属性を変更したり、別のカテゴリーで新製品を導入するなど、色々な方法で行われます。

製品ライン拡張の方法は星の数ほど存在する。しかも新しい手法が毎日開発されている。長期的にみると、あるいは深刻な競争にさらされれば、ラインの拡張はまず効果を発揮しないといっていよい。
(第12章:製品ライン拡張の法則 P125)

長期的にみるとラインを拡張すると失敗することが多いのに、なぜ行われるのか。それは短期的には成功することがあるからです。組織や人事が変更された際には注意が必要です。短期的な結果を求めて、製品ライン拡張させてしまうことがあります。例えば、「〇〇ライト版」といったものなどは失敗する典型的な例です。これは顧客や見込客だけでなく、自社内でもライト版というように認識・浸透してしまうと上手くいかなくんるでしょう。 

拡張してしまった製品ラインが問題となっている場合、どうすれば良いか。

不振企業にとっては、製品のフルラインは贅沢というものである。もし成功を望むのであれば、製品ラインを拡げる代わりに、減らすべきである。
(第13章:犠牲の法則 P134)

製品ラインを減らした方が成功への近道で、成功するには何かを犠牲にしなければならないと言っています。製品ライン以外に犠牲にできる候補にはターゲット市場と絶えざる変更を上げています。

今日成功することを望むのであれば、あなたは何かを放棄しなければならない。犠牲にできるものとしては、三つのものが考えられる。すなわち、製品ライン、ターゲット市場、絶えざる変更の三つである。
(第13章:犠牲の法則 P134)

製品ラインを減らしたり、ターゲットを絞ったりというのは、言うのは簡単ですが中々できないのが多くの組織の実態でしょう。それまでの投資の時間や労力を考慮して決断できません。所謂サンクコスト、埋没費用のことです。
絶えざる変更の放棄とは、毎年など定期的に戦略を必ずしも変更することはないということです。これも組織によっては簡単ではありません。毎期何か新しいことをすることが使命となっている部署、ステークホルダーからのプレッシャーで何か新しいことを求められるなど、色々な要因から何かしらの変更が行われてしまうことがあります。

製品ラインの拡張は全て失敗するのか

既存のブランドを使用しての拡張は、色々行われています。拡張の例として、ライザップを考えてみます。ライザップは「結果にコミットする」をキーワードにして、ダイエット前後の姿を見せたCMで評判になりました。ライザップならば「ダイエット・肉体改造」といったサービスが「必ず成功させる」といったフレーズと結びついたと言えます。
ライザップが行った拡張は「ライザップ・ゴルフ」、「ライザップ・イングリッシュ」といったもので、「ダイエット」以外のサービスに広げ、「必ず成功させる」というフレーズを利用したものと見ることができます。
イメージとしては以下のように、強力に結びついたフレーズを他の製品でも利用したものです。

この拡張は成功するしょうか。ポイントとなるのは「必ず成功させる」というフレーズが有効に機能するかです。「ダイエット」の場合、CMで一目でその前後の姿を見せることで有無を言わさず成功したイメージを植え付けることができます。ゴルフや英会話といった技術・技能系のサービスは一目で成功したかを認識させることが難しいでしょう。特に英会話などは競合も多くいるので簡単にはいかないと予想できますが、ライザップを利用したら他では上手くいかない人も成功したといったイメージが広がれば、拡張は成功と言えるかもしれません。逆に失敗したというイメージが広がれば、既存のブランドにも影響が出てくる可能性があります。

法則で書かれたことのその他考察

多くの会社にとって、製品ラインの拡張は、安直な打開策である。新しいブランドを開発するとなれば、金がかかるだけでなくアイデアとコンセプトを必要とする。
(第12章:製品ライン拡張の法則 P131)

新しいブランドを開発するには、大きなコストがかかります。その上、必ず成功するとも限らない。それに比べると製品ラインの拡張はリスクが低く、少なくとも一時的には成功する可能性が高く見えます。短期的な結果を求めてる人にとっては、製品ラインの拡張は魅力的な選択肢に見えてしまいます。

現実には逆の事例が数多く存在するというのに、投網を大きくすれば、たくさんの顧客を捕まえられる、という信仰に近いものあるように思えてならない。
(第13章:犠牲の法則 P143)

色々なところで示されてますが、マーケティングの基本は絞り込むことです。絞り込みを変え、範囲を広げても簡単には上手くいきません。新しい範囲の顧客を掴めないだけでなく、これまでの顧客からも逃げられることもあります。競合他社がこのような動きをしてきたら、ピンチではなくチャンスなのです。

競合各社の反応を見通せないことが、マーケティングで失敗する主な理由である。
(第17章:予測不能の法則 P174)

競合は既存のものだけとは限らない。いつどこから新しい競合が出てくるかわからない状況になっている。

アメリカ企業が抱える問題点の多くは、マーケティング上の短期的考え方に関係したことではない。問題はむしろ、財務上の短期的考え方にある。
(第17章:予測不能の法則 P174)

たいていの会社は四半期毎を一区切りにしているため、その期間で結果を出すことが必要だという風に追い立てられる。これは人事の評価制度とも結びつき強力な呪縛となる。これが長期的な視点での活動を妨げることになり、間違った選択をする要因となってしまうことがある。

新聞の第一面は無視してもいい。もしあなたが未来への手がかりを模索しているなら、あとのほうに載っている月並みなベタ記事に目を通すことだ。
(第20章:パブリシティの法則 P202)

メディアの評価を見るときは過去のものに対しては参考になるが、未来の予測に関しては信用する必要はない。彼らは未来の予測を外したからといって何の責任もない。一般的な予測の一例として受け止めるのが良いでしょう。

まとめ

今回は「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」の失敗に関連する法則の紹介でした。

以上

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